■PCRは医師の判断ですべき

 専門家会議に対する意見で多く挙がっていたのが、PCR検査体制への不満だ。そこで、検査体制についても単独で調査した。

 今でこそ医師会などの協力のもとで、地域にPCRが受けられる発熱外来や検査センターなどができつつあり、医師が必要と判断した感染疑いの人は、以前より簡単に検査を受けられるようになった。厚労省によると、6月17日現在、検査センターは全国に203カ所あり、そのほか独自で行っている医療機関がある。だが、今もこうした体制が整っていない地域もあり、「いまだに保健所でブロックされている」(東京・40代・一般内科)という回答もあった。

 前出の武政准教授も、PCRに対しては疑問を感じている一人だ。

「個人的には、韓国のようにドライブスルーを利用してやったほうがよい。それができない日本の情けなさ。保健所の問題というよりも、PCRが制限されていたのを政府が解決しなかったことのほうが問題です」

 ただ、PCRの実施については、「増やすべき」「増やさなくていい」と正反対の意見がある。

 前者では「医師が疑わしいと思う症例、クラスター疑い症例は全例行うべき」(大阪・50代・呼吸器内科)、「医療機関が疑わしいと考えた症例にはきちんとPCRを施行できるようにしてほしい」(宮城・30代・消化器内科)など。

 もちろん、PCRも万全ではない。実際、「陰性というので診ていたら、何回もしてから陽性になったものが多い」(神奈川・60代・アレルギー科)ということも。それでも「性能の限界はあるが、検査数は増やすべきだった」(北海道・40代・小児科)という。

 後者では、「PCRをむやみに増やすべきではない」(東京・60代・一般内科)、「PCRや抗体検査をすればよいというものではない。受け皿を考えて検査しないと、さらなる混乱を招くだけ」(千葉・40代・総合診療科)などがあった。(本誌・山内リカ、秦正理)

週刊朝日  2020年7月3日号

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