「僕のピアノで、聴いてくださる人の心を少しでも癒せたら、と。そんな気持ちで、このアルバム(『愛の夢~牛田智大デビュー』)を作りました」

 そう言いながら、胸の前でそっと両手を合わせたのは現在12歳の牛田智大(ともはる)。今月14日に、クラシック日本人ピアニストとしては史上最年少のCDデビューを果たす。繊細で華麗な演奏のみならず、天使のようなキャラクターでも話題を呼んでいる牛田君だが、生まれて間もなく上海に渡り、2歳のときからピアノに親しんだという。

 そして、5歳のときに、上海市で行われたコンクールで1位となり、8歳から出場しているショパン国際ピアノコンクール in ASIAでは、5年連続で1位という快挙を成し遂げた。

「ピアノを弾くときに、僕が大切にしていることは、曲のイメージを膨らませることです。そのために、本を読んだり、曲が生まれた時代背景について勉強したりします」

「好きな人を思う気持ち」を表現したいとき、彼は、福島にいる祖父母を思う。遠くにいても気持ちを届けたい。そんな強い意思を指先に込めて。

※週刊朝日 2012年3月23日号