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「人間は進化したら何になるの?」
「どうして、“わたし”は“わたし”なの?」
発想豊かな子どもの疑問に大学教授が本気で答える連載「子どもの疑問に学者が本気で答えます」。子どもに聞かれて答えられなかった疑問でも、幼い頃からずっと疑問に思っていることでも、何でもぜひお寄せください。明治大学教授の石川幹人さんが、答えてくれますよ。第19回の質問は「いたずらをして注意をされると、もっとしたくなるのはなぜですか?」です。
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【Q】いたずらをして注意をされると、もっとしたくなるのはなぜですか?
【A】注意されることが、いたずらの成功のあかしでもあるからです
私は中学生・高校生の頃、“いたずらっ子”でした。いたずら仲間と一緒になって、とくに学校でいたずらを働いていました。ここには書けないようなことをたくさんしましたが、差しさわりのなさそうな事例をひとつ紹介します。
中学校の音楽の時間でした。その日はレコードでクラシック音楽を鑑賞し、オーケストラについて学ぶ予定でした。音楽室で授業の始まりを待つ間に、さっそく私は仲間といたずらを考え、スピーカーコードを左右逆にするいたずらを働きました(良い子はマネをしないように!)。
レコードには2種類の音が記録されています。オーケストラの演奏の場合には、演奏している会場の左側と右側にマイクをそれぞれ設置して、それぞれの位置で聴こえる、つまり2つの少し異なる演奏音を収録します。レコードに記録されたその2種類の音を、それぞれ左のスピーカーと右のスピーカーに分けて流せば、オーケストラの楽器配置が再現された音になり、演奏の臨場感が伝わります。しかし、スピーカーに配線するコードを逆にすると、楽器配置が左右逆に聞こえるのです。
いよいよ音楽の授業が始まり、オーケストラのレコード鑑賞になりました。音楽の先生は、オーケストラの楽器配置を「バイオリンは向かって左側、コントラバスは右側」などと解説をはじめました。ところが、実際に聞こえてくる音楽は、左右が逆でした。私はいたずら仲間と顔を見合わせて、にやにやしていました。