約1千兆円もの債務残高を抱える日本。野田内閣は2015年までに消費税10%を主張しているが、5%の増税でも歳入は約12兆円の増加のみ。2012年度予算の歳出総額が90.3兆円、不足分は44.2兆円にもなり、増税しても、新たな借金額は32兆円ほどに減額するだけになる。この状況を打開するためには「社会保障費の削減」が必要だとジャーナリスト・田原総一朗氏は指摘する。
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本気で借金を減らそうとするなら、消費税を10%に増税した上、同時に歳出も減らすことを考えるべきではないのか。
野田内閣は国家公務員の人件費の削減、国会議員の定数削減などを打ち出しており、これは当然やるべきだが、額が小さすぎて実はほとんど歳出削減にならない。はっきりいうと、社会保障費を思い切って削減するしかないのだ。
だが、社会保障については、野田内閣は強化するとばかりうたっている。年金制度にしても、短時間労働者に対する厚生年金、健康保険の適用拡大などをうたい、「7万円の最低保障年金」を創設するとまで明言している。
消費増税という国民が嫌がることを敢行するから、そのことを言いたくないのだろうが、隠蔽は時を移さずに露呈する。そのとき、国民の信頼を決定的に失うことになるのではないか。
※週刊朝日 2012年3月9日号