世界的ジャズピアニストの山下洋輔さん。高校卒業後キャバレーや米軍基地で演奏していたが、2年たつと本当にやりたいモダンジャズができないことが悩みとなり、国立音楽大学作曲科に入学。学生とプロの二足のわらじで生活しながら、自分の音楽を探したという。山下洋輔さん本人が語る。
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作曲科に入ったのは、その場で曲を作るわけですからいちばん似てるんですよ、即興演奏に。クラシックをやる学生は楽譜さえあればバリバリっと弾ける。すげえなあと思っていました。でも、僕が楽譜なしの即興で弾くと、今度は向こうがびっくりする。やっぱり、これだなと(笑)。向こうのフィールドじゃ勝てない、何もないところから自分の音楽を作るという方向がはっきりした。
そのころいつもそばにいて、お師匠さんみたいにいろいろなことを話してくれた人が、評論家の相倉久人さんです。相倉さんは、いろんな人とも会わせてくれました。SF作家の筒井康隆さんをはじめ、詩人の奥成達さん、評論家の平岡正明さん。筒井さんは前からファンだったので、著書は全部読んでいました。