このように、相対的には不遇な人は確かにいるかもしれません。しかし、なんとか鬱屈した感情を打ち払い、モチベーションが上がる要因を思い出して、自ら高めることをあきらめないでほしいと願います。というのも、実は損な役回りと思っている機会が、周囲から見ればそうでもなく、むしろ仕事の成果につながる可能性を秘めていることがよくあるのです。 

 たとえば先述した不遇の彼は、謝る境遇の時期を経験したことでクレーム処理の専門性が高いと思われ、その分野では社内で高い評価を得る存在になっていました。ただ、その評価の意義を本人は深く認識していません。そのため「損な役回りなので」と嘆くのですが、周囲からすれば、それなりに恵まれた状況と思われていました。

 このように、世のなかの仕事には損な役回りに見えても、実は「得な役回り」と断言する意見も結構あります。というのも、クレームの声から、改善のヒントや新たなビジネスの芽がたくさん見つかる機会に恵まれているからです。クレームを上げる人こそ、ロイヤリティーの高いユーザーに変えることができる予備軍とも言われています。問題を解決してくれたプロセスがホスピタリティーに溢れていることで、「信頼できるようになった」というユーザーの声を聞くことがよくあります。そのため、クレーム対応の仕事を厄介な仕事として扱うのではなく、将来の発展につながる大事な仕事と考える会社が増えているのです。 

 クレーム対応に限らず、社内で中核とは呼べない事業部門の仕事など、一見損をしているように見えても、高い専門性を磨けたり、小さな組織では経営に近い仕事ができたりするなど、自分のキャリアにとって得になることがたくさんあるものです。

 プロスポーツ選手でレギュラーになれずに、ずっと控え選手だったという人がいます。しかし、控え選手だった経験があったことから、早期にリタイヤする選手の気持ちを理解することができ、その後、セカンドキャリアのビジネスを立ち上げて、見事成功を収めるまでになりました。 

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バーベキューでわかる仕事の適性