第3は、優秀な経営者を政治の思惑で次々と使い捨てにしてきたので、今の「郵便局」を立て直せる力のある経営者がいなくなったこと。企業のガバナンスも効かなくなり、巨額損失や不正事件が後を絶たなくなっています。

 第4は、「郵政民営化法」に縛られ、新商品の発売前に良し悪しを広く問わなくてはならないので、良い商品であればあるほどライバル企業から潰されて、優れた商品をつくれない企業としての根本的な欠陥があることです。

 第5は、民間企業といいながら、経営判断よりも政治判断が優先され、行き当たりばったりの方針でしか会社運営できなくなっていること。そのため、民間の優秀なノウハウを大胆に取り込むことができない組織となっています。 

 以上のように「企業としての将来性」が描けず、展望も競争力もない中で、頼みの綱の「ブランドイメージ」も「不正販売」で地に落ちました。さらに、新型コロナウイルス禍の長期化で、「郵便局」を支える「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の収益も悪化し、株価も下落していく悪循環に見舞われています。

 結果、「日本郵政」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の3社の株売却はほぼ不可能な状況になっています。しかもそれだけでなく、株価の下落によって、帳簿上でも大規模な損失が発生する可能性が出てきました。

 もはや「郵便局」神話は崩壊し、「破綻」へのシナリオが着々と進みます。

■郵便局が破綻した場合、貯金や保険はどうなるのか?

 では、もし本当に破綻した場合、今預けている「貯金」や加入している「保険」は、どうなるのでしょうか。

「郵便局」に預けた「貯金」や、加入した「保険」は、預入や加入時期によってイザという時の扱いが異なります。また、同時期に購入した金融商品であっても、政府の方針次第で元本が全額保全されるか、一部毀損するかは分かれます。

【1】「郵政民営化前(2007年9月30日まで)」に預けた定期性の貯金や、契約した簡易保険、購入した投資信託について

「貯金」「簡易保険」は全額保護され、継続される。「投資信託」は分けて管理されているので損失なし。

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「郵政民営化後」に預けた定期性の貯金などは?