西田:人々が言うのなら、正しくなくても間違っていても構わない、それに迎合するかたちで、政策や新型コロナ対策が乱発されているのが現状です。どこに耳を傾けているのかも重要で、たとえば前倒しされた「Go Toトラベル」でいうと、旅行業界、観光業界、経済団体。すべて自民党の支持層です。

堀:迎合しているように見せている側面もあるでしょうね。先行きが不透明で混乱するほど、統治する側は大衆をコントロールしやすくなりますから。

 そのときに機能しないといけないのがジャーナリズムです。僕はジャーナリストや報道機関の独りよがりな判断ではなくて、市井のみなさんと一緒にそれが将来的に正しい選択なのかを検証することが必要だと思います。

西田:Go Toキャンペーンも、世の中に迎合するように東京発着分の除外が国交省から提案されました。都民からも吸い上げている税金の使い方として公平といえるでしょうか。場当たり的な対応は我々を混乱させ、不安を助長します。むろん健全な不安は必要で、不安がなければよいというものでもありません。社会が中心となって、どのように不安をマネジメントしていくかが問われています。同時に、政治と政策への反映のされ方にももっと関心を向けるべきです。

(構成/ライター・三浦ゆえ)

AERA 2020年7月27日号より抜粋