「今年のお盆は、帰らなくていいよ」
実家からこういう連絡が来たと打ち明ける都市部在住者は多い。
新型コロナウイルスのため、オンライン帰省が注目を集めている。
従来、帰省といえば手土産がつきものだが、親やお世話になった方に直接会えない今年の夏は、送付という形を取らざるを得ない。
今夏の贈り物の傾向について、デパートに聞いてみた。
「コロナ禍で積極的にお勧めしたこともあり、オンラインストアが増えました。前年比で1・4倍です。一番売れている価格帯が3千円ということに変化はありませんし、オンラインとご来店のお客さまとで商品や金額に差はないようです」(三越伊勢丹マーケティンググループ)
「お中元の売り上げ実績は、店頭では対昨年比で3割超の減、WEBは同4割増です。帰省できない代わりに早めにギフトを送っておくなど、客数はアップし客単価は微減の傾向です」(大丸松坂屋百貨店営業本部)
オンライン帰省の今年は、オンライン手土産が必須なのかもしれない。
お中元戦線を踏まえたうえで今夏の「推し商品」を尋ねてみた(別表)。三越は、美術品をあしらった限定パッケージに包まれた格調高い菓子が多い。大丸松坂屋は「先様に“さわやかな涼”を感じていただきたいという思いを込めて、みずみずしいフルーツのデザートを選定しました」。
さらに今年の傾向として、贈り物だけではなく、購入者が自身のために買うものも増えたとか。ステイホームなど耐え忍んでいる自分への褒美として、各地の名産品を購入するのだろう。
全国の逸品を取り寄せることの魅力について、料理家・栄養士の田村つぼみさんはこう語る。
「私は旅が好きで、旅先では現地の方に尋ねて、その土地ならではの食材を買って帰るんです。そのときには、東京でも取り寄せて食べられるかどうかも気にかけます。その土地に足を運ばなくても、現地のおいしいものを食べられるのがありがたいです」
田村さんが強く推すのは、かねきち吉野(北海道古平町)の塩たらこ。今月7日に小社から刊行される書籍『全国とっておきのお取り寄せカタログ』でも、これを推薦している。
「4、5年前に現地の知り合いにいろいろ聞いているなかで、ここを知りました。普通のたらこより身が大きく、素材そのものの質も高いので、料理にも使いやすいんです」
田村さんが足を使って探した逸品も、オンラインで簡単に注文できる。
『全国とっておきのお取り寄せカタログ』で紹介している品のうち、特に厳選した20品も表にまとめた。ふたつの表さえあれば、オンライン手土産、オンライン褒美は万全だ。(本誌・菊地武顕)
※週刊朝日 2020年08月14‐21日号