東京地裁が「有罪」の判決を下した翌日(9月27日)、小沢一郎・民主党元代表の元秘書3人、石川知裕・衆院議員(38)、大久保隆規被告(50)、池田光智被告(34)は揃って判決を不服として控訴した。公訴事実を否認し続けてきた3人なのだから、控訴するのは当たり前--と見る向きもあるだろうが、内情はちょっと違う。
「実は、現役議員の石川さんはともかく、大久保さん、池田さんは判決の内容次第では控訴しないという気持ちもありました。大久保さんは『無罪』とみられてましたし、池田さんは、すでに政治の世界から距離を置き、第二の人生のために税理士の勉強を始めてましたから。だけど、判決があまりにひどかった。裁判所が認定した小沢事務所の『天の声』、そして『裏ガネ授受』は明らかに事実と違う。彼らも、断じて認めるわけにはいかなかった」(小沢氏周辺)
そう、3人が揃って控訴したのは、今回の判決に、絶対に看過できない「事実誤認」があったからなのだ。
石川議員は本誌インタビュー(別記事参照)で、
「自分の行為に対して(法律上の)認識の違いはあるでしょう。だけど裁判所は、なかったことに対して"やっていたはず"という。これは恐ろしいこと」
と訴えた。ありもしないことを、勝手な推測で「あった」と決めつけられたのであれば、黙っていられないのも当然だ。
本誌はこれまで再三、「検察の暴走」の危険性を訴えてきた。しかし、裁判所ならば、もろもろの証拠を精査して、きっと妥当な判断を下すものだろうと考えていた。ところが、驚いたことに検察、裁判所をひっくるめた「司法ムラ」では、まったく別の論理が幅を利かせているようなのだ。
今回の判決のポイントは二つある。おさらいしよう。