この“大人5"というのは、“大人の関係5万円”の略称で、A子さんによれば「5万円でセックスをしませんか?」という交渉を意味するという。“顔合わせ1”なら、今後の関係を図る前に1万円でまずは顔合わせをしたいということだ。
アプリを使い初めてから1週間後、A子さんは顔合わせのために恵比寿まで向かった。男性から指定された場所は恵比寿駅近くの男性の自宅マンションのロビーだった。4月は多くの飲食店が営業を休止していたため、この場所での顔合わせになったという。
「待ち合わせ場所に着くと、ごく普通の30代の男性が現れました。アプリ内のプロフィールにも30代と書いてありましたが、友人から『30代と書いていたのに50代に近い男性が現れたことがある』という話を聞いていたので、安心しました。その後はロビーで仕事や休日の過ごし方、オススメの映画の話など、ごく普通の会話を1時間ほどしました。これまではアプリ内のメッセージ機能を使って男性と会話をしていましたが、帰り際にLINEを交換して、顔合わせ代の1万円に加えて、交通費として5千円を手渡しで受け取りました」
その数日後、LINEでのやり取りを経てA子さんは男性と再開。肉体関係を含むパパ活が始まったという。
今回、A子さんに加えて、“パパ活アプリ”を利用する20代の男性Kさんにも話を聞くことができた。
「コロナの影響で、パパ活アプリやギャラ飲みアプリの女性ユーザーが急増しています。その一方で、男性ユーザー数は変わらないどころか減少傾向にある。私自身もそれまでは月に20件程度だった女の子からのメッセージが2倍近くに増えました。売り手市場だったパパ活はコロナ禍以降、完全に買い手市場になっています」
A子さんやKさん以外にも、私の周囲にはパパ活中の知人がたくさんいる。彼らの話を聞く限りでは、現在のパパ活の実態は“売買春”にほかならない。以前のパパ活は、経済的に余裕のある男性が若い女性と食事や旅行をして、その対価として金銭を支払うというのが一般的だった。性的行為が含まれないことが多かったのだ。しかし、パパ活という言葉がメディアで大きく取り上げられるようになり、パパ活がアプリひとつで誰でも参加できるものになった。そして市場に変化をもたらしたコロナ禍を経て、これまでのパパ活の定義は変化していった。