古市:作品のクオリティーで認めてもらうしかないですよね。

林:そうですよ。『百の夜は跳ねて』(2回目の芥川賞候補作)なんてよかったと思うけどな。『平成くん、さようなら』(1回目の芥川賞候補作)も、あれは古市君じゃなきゃ書けなくて、肉体的接触をしないで性交していこうという、今まで見たこともないラブシーンがあって、これはちょっと度肝を抜かれました。

古市:僕の理想なんですけどね。接触なしで、できたら対面することもなく、本人がいなくてもいいぐらいの恋愛のほうがラクだと思います。

林:「唾液の交換なんて気持ち悪いから、キスなんかしたくない」という古市君の有名な言葉があって、それが独り歩きしてるみたいな感じだけど、そういうのってすごく新しいと思う。

古市:しかも、新型コロナで唾液はやっぱり危ないってことがわかったわけじゃないですか(笑)。

林:古市君は、小説以外にもいっぱい本を書いてますよね。

古市:9月には新潮新書から日本史の本も出します。

林:どの時代ですか。

古市:全部です。日本史の教科書って固有名詞や人名がたくさん出てくるのに、小説のような起伏もないですよね。だから多くの人は通読できない。僕の出す『絶対に挫折しない日本史』という本では、ほとんど固有名詞を使わずに、こんなふうに整理したら歴史ってめちゃくちゃおもしろいですよ、という観点で書いてみました。

林:それ、おもしろいかもしれない。上野千鶴子先生や三浦瑠麗さんとの対談とか、頭のいい女の人とのお仕事も多いですね。

古市:頭がいいというか、才能がある人は好きですね。いくら見た目がよくても中身がつまらない人にはあまり興味がないです。ルックスってしょせん皮じゃないですか。皮膚や骨の造形で人を判断する必要があるのかなって思うんですね。だから年齢もあまり意識しない。結果的に、真理子さんや安倍昭恵さんとか、年上の友人が多いですね。

林:もう次の作品は決まってるんですか。「書いてほしい」っていろいろ言ってくるでしょう。

古市:書き上がってから出版社に相談することが多いですね。

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