
個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回は、自身のコンプレックスについて。
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目細である。
いや、そんな、何を今さらとお思いだろう。ある朝、妻から、「うわっ、ビックリした~。君、すごく目が細いね」と驚かれたことがある。20年以上一緒に住んでて、なぜにその朝それほどまでに驚いたかはいまだに謎だが、長年連れ添う妻をビックリさせるほどの目の細さとはいったい…。
昔、2時間ドラマの監督から、「二朗!目を開けろ!」と言われ、「開いてます!」と答えたことがある。だって開いてたんだもの。目、開いてたんだもの。
オクテの僕がようやく色気づいた高校生のころ、この目細は本当にコンプレックスだった。二重(ふたえ)にするためまぶたにマジックで線を引くなんてばかみたいなことをわりと本気で考えたりした。パッチリ二重まぶたの人には、憧れなんて生ぬるい感情ではなく、激しい嫉妬、いや、ほとんど憎悪を抱いていた。
あ、ちなみにですね。わりと最近気づいたんですけど、僕、完全な一重まぶたではなく、一応、奥二重なんです。うっすら、本当にうっすらですが、線が入ってるんです。マジックで書いたんじゃないですよ。うっすら線がね、入ってるんです。どのくらいうっすらかというと、ほとんど肉眼で確認するのは困難なくらいうっすらです。それはもう、ないのと同じじゃないかと思われるかもしれませんが、本当にうっすら入ってるんです、線。信じる信じないはお任せしますが、きっと信じる心を持った人には見えると思います、線。
なぜにまるで都市伝説を真実と説得するかのような口調にならねばならんのだと自分でも悲しくなるが、実は目細以外にも、僕には昔からコンプレックスがあった。
まず顔がデカイ。高校の集合写真で、隣の男子生徒より肩の高さは低いのに身長は僕の方が高い。逆転だ。顔のデカさで劇的な逆転勝利をおさめたのだ。あるいは劇的な逆転負けを喫したのだ。