しかし、だ。

 ユーザー層は圧倒的に若者中心ということもあり、TikTokという名前は聞いたことがあっても「使ったことがない」「詳しく知らない」という人も多いはず。ここで、少しだけおさらいしよう。

 そもそもTikTokとは、ショートムービーをシェアして楽しむアプリ。ティーンを中心に支持を集め、15~60秒の動画を次々と流し見でき、撮影した動画を簡単に編集、配信することも可能だ。フォロワーを多く集める「TikToker」と呼ばれる人気のユーザーもいる。

 こんな現象もある。

 数々の音楽配信チャートで上位にランクインするシンガー・ソングライター瑛人さんの楽曲「香水」。これも、TikTokがきっかけで人気に火がついた。「君のドルチェ&ガッバーナーの~」のフレーズにあわせて「歌ってみた」「弾いてみた」などの動画が次々とアップされ、たちまち人気者となった。昨年には人気グループ、嵐の公式アカウント開設が大きな話題になるなど、インスタグラムやツイッター同様、いまや世界のセレブたちがこぞって使う。

■日本でも自主的な規制

 日本で人気が急伸したのは2018年ごろから。一般ユーザーだけでなく、若者をターゲットにした企業のプロモーションも目立つようになる。19年3月には、日本共産党もアカウントを開設。若年層へのアピールを目的として、同党の志位和夫委員長が淡々とピアノを奏でる動画を投稿していた。

 つまり、個人ユーザーに限らず、さまざまな分野の企業や団体がTikTokの影響力にあやかりたいのだ。それほどまでに存在感が高まっていた。

 だが、冒頭の米政府の対応を受け、日本でも、自主的な規制の動きが出ている。

 埼玉県や大阪府、神奈川県などが「情報流出に不安の声がある」として自治体アカウントの使用を停止した。また自民党の議員連盟は7月末、会合で「安全保障上の問題がある」として、中国アプリの制限を検討するように政府に提言するとした。

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