9月16日に誕生した「菅政権」。この新政権をどう見るのか、AERA 2020年9月21日号では、作家で元外務省主任分析官の佐藤優さんとジャーナリストの池上彰さんが語りあった。
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──モリカケや桜を見る会などの問題の責任の一端を負う菅氏が、問題をうやむやにしたまま新政権を率いることになっても、正当性への疑問が残ります。
池上:これが、日本人だからというのかな。何か、モリカケも桜を見る会の追及も政権が代わったとたんに、昔の話だよねってなっちゃうんだと思うんですよ。政権代わったんだし、まあいいじゃん、みたいな。本来はいけないんだけど、そういえばそんなのあったっけってね。
佐藤:そもそもモリカケや桜を見る会は前政権のスキャンダルです。ですから菅政権については、新しいスキャンダルが出てきたときにどうなるかです。官房長官まででは見過ごされていたことでも、内閣総理大臣になると許してもらえないことってきっとあるはずです。何がスキャンダルになるかは、それに巻き込まれる当事者もわかっていないから、事前に対策を立てることができない。
池上:菅さんは官房長官タイプで、安倍さんが途中で辞めてしょうがないからワンポイントリリーフかなと、最初私は思っていました。それが、本人は野心むき出しですよね。
先日、日本テレビの「news zero」で、有働由美子さんがピンチヒッターっていう言い方をしたら、菅さんがすごいムキになって「有働さんは選挙わからないと思うけど」って言い出したでしょう。あれで、これはワンポイントリリーフじゃないんだなと。本人、猛烈に野心が出てきたんだなと。だから、なるべく早い段階で総選挙をして本格政権を作ってやっていく気なんだなと思いましたね。絶対自分はワンポイントリリーフなんかにならないぞっていう野心が、あそこでつい見えちゃったな、って私は思いましたね。
佐藤:確かに野心が見えましたね。メディアではいま、菅さんの苦労人という面が取り上げられていますけど、持ち上げたらそのあと落とすっていうのも、メディアの仕事ですから。だから最初は、あんまり竹馬で高く上らないほうがいいんです。