室井佑月・作家
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イラスト/小田原ドラゴン
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 作家・室井佑月氏は、安倍政権が生んだ国民の“対立”について、改めて指摘する。

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 安倍政権が終わるとほっとしていたのだが、菅政権では安倍政治が引き継がれるようだ。安倍政権のなにが問題だったかは、この行数で書ききることができない。その中でもかなり重い問題点である、国民の分断の話を書こうと思う。

 9月7日の文春オンラインで、ライターの大山くまおさんが「安倍首相7年8カ月の“迷言集”をまとめたら、『やってる感』と『ごまかし』のオンパレードだった」というコラムがとてもわかりやすかった。

 その中にこう書かれていた。「安倍首相は在任中、常に国民を『敵』と『味方』に分けてきた。議論したり説明を尽くしたりするよりも、自分の味方を集めて政権基盤を固め、異なる意見は排除する。(中略)17年7月の東京都議選、秋葉原駅前での街頭演説での発言。安倍首相は政権批判の声を上げる聴衆を指さして『こんな人たちに負けるわけにはいかない』と声を張り上げた。一国の首相が国民をはっきりと『分断』してみせたのだ」

 これが安倍政治だった。いや、安倍時代だった。トップがこれだし、その流れに乗って喜ぶ人も現れた。そのことについて8月30日の『論座』で政治学者の白井聡氏が、「数知れない隣人たちが安倍政権を支持しているという事実、私からすれば、単に政治的に支持できないのではなく、己の知性と倫理の基準からして絶対に許容できないものを多くの隣人が支持しているという事実は、低温火傷のようにジリジリと高まる不快感を与え続けた」と書いていて、あたしとまったくおなじ気持ちだ、と思った。

 安倍政治を応援する者と、それを不快に思う者、どちらもこの国の人間である。

 安倍政治は権力の私物化やたくさんの嘘やごまかしで溢れていた。そのことについておかしいのではないかと声をあげる者は、反安倍とされた。それだけではない。安倍氏が膨らませた親安倍なるものは、デマの歴史修正を安易に受け入れ、近隣アジア諸国の人々を嫌悪し差別をすることで日本をアゲるということを好んできた。

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