この人たちは簡単に「日本人じゃない」「日本から出ていけ」という言葉を使う。反安倍であるあたしは、何度もこの言葉を浴びせられた。馬鹿じゃないか、と思いつつも嫌な気分になる。
この国には外国人労働者が多数いる。彼らに頼っている。それは多様性を認める社会こそ必要だということだろう。
自分とは違うから日本から出ていけなどと軽々しくいえてしまう愚かな人間こそ、いなくなってもらいたい。……ついついそう思うあたしも、安倍的なものにやられたのか? 低温火傷は治りづらい。
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
※週刊朝日 2020年10月2日号