米アップルと世界的人気ゲーム・フォートナイトのエピックが鋭く対立している。アップルがアプリ提供者に課す、売り上げの30%という手数料率が高すぎるとして、エピックがより料率の低いゲームストアを展開したのだ。アップルの「支配からの解放」を叫ぶエピックは、次代の支配者になる実力を秘める。両者の対立の背景に迫った、AERA 2020年9月28日号の記事を紹介する。
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エピックがここまで真っ向からアップルに対抗できる背景には、大きく二つの事情があるようだ。ゲームを中心にアプリ業界に詳しいKADOKAWAの浜村弘一シニアアドバイザーは「クラウド技術の進歩で誰もがプラットフォーマーになれるようになった」ことを強調する。
かつてゲームのプラットフォームとはゲーム機本体のことだった。80年代、ファミコンに対抗するためハドソンがNECと協力して「PCエンジン」を開発したように、自前のソフトを自由に売るためには、まず自前のハードを立ち上げなければならなかった。しかし現在はエピックが「ストア」を立ち上げたように、比較的容易にオンラインでゲームを配信できる。
もう一つは、エピックの独自性と技術力だ。
フォートナイトは複数人が撃ち合って1人が生き残るバトルロイヤル型がメインのシューティングゲームだが、大きな特徴は、ゲーム内で戦闘から身を守ったりするためにあらゆるものを建築できる自由度の高さにある。これにより、ライブ会場をゲーム内に築いた上で、米津玄師さんら著名ミュージシャンがライブを開くことも可能になった。企業からはゲーム内広告にも注目が集まり、シューティングゲームという枠を超えた仮想空間「メタバース」が形成されるようになっている。
■ゲーム以外でも不可欠
フォートナイトが単なるゲームではなく、世界中の人々が行き交う仮想空間になったのは、基本使用料が無料であることに加え、利用者が各社のゲーム機やスマホから同じ世界に同時接続できる「クロスプラットフォーム」という仕組みのおかげだ。複数の種類の家庭用ゲーム機で同じゲームが発売されることはこれまでもあったが、あくまでそのゲーム機を使っているプレーヤー同士だけがオンラインで対戦したりするだけだった。