自民党の圧勝、民主党の崩壊で幕を閉じた第46回衆議院選挙。民主党は、党の重鎮である仙谷由人氏が落選した。ジャーナリストの田原総一朗氏は、仙谷氏に対する世論、民主党議員たちの冷ややかさに疑問を持ち、仙谷氏こそ政権党の政治を貫いた人だったと言う。
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民主党政権最初の総理だった鳩山由紀夫元首相も、その次の菅直人元首相も、在職中は仙谷氏を非常に頼りにしていた。にもかかわらず仙谷氏を党の要である幹事長につけなかったのは、率直に言って小沢一郎元代表への配慮だった。小沢氏の世論迎合的な政策を仙谷氏がこっぴどく批判しており、ゆえに小沢氏は仙谷氏を恐れ、嫌っていたのだ。
かつて竹下登元首相は「国民に好かれたい政治家は野党にいけ。政権党の政治家ならば国民に嫌われる覚悟を持て」と言った。野党の政治家は世論迎合に徹して、政権党のやることになんでも反対を唱えていればよいが、政権党は違う。
特に高度経済成長が終わり、国民に受益ではなく負担を願わざるをえない時代には、国民の不満、怒りを避けて、逃げる政治が多くなる。民主党の歴代首相は、国民に好かれたいと願う「野党の政治」を行ってしまったのだ。
それに対して仙谷氏は、中国問題や原発問題、東電の実質国有化などで、誰もが嫌がる「政権党の政治」を敢行した。だからこそ頼りにされる一方、敬遠され続けたのだ。
メディアまでもが仙谷氏に誤った認識、反発を抱いてしまったのは、かえすがえすも残念である。
※週刊朝日 2013年1月18日号