「日本に敵はいない」と話す吉野さん(撮影/写真部・張溢文)
「日本に敵はいない」と話す吉野さん(撮影/写真部・張溢文)

鍛え抜かれた王者の肉体美を披露してくれた吉野さん(撮影/写真部・張溢文)
鍛え抜かれた王者の肉体美を披露してくれた吉野さん(撮影/写真部・張溢文)

  9月3日にボクシングの東洋太平洋、WBOアジア・パシフィック、日本ライト級タイトルマッチを制し、日本王座6度目の防衛を果たしたライト級王者の吉野修一郎さん(28=三迫)。国内最強の名実を強固にしたものの、プロになってから5年間、ボクサーのファイトマネーだけでは十分ではないため副業もしているという。それでも、なぜ吉野さんはボクシングを続けるのか。ボクシングの魅力や日本王者の現実を吉野さんに聞いた。

【写真】鍛え抜かれた吉野さんの肉体はこちら

*  *  *

―日本王座6度目の防衛、おめでとうございます。

 ありがとうございます。みなさんの応援に感謝しています。

―史上初となる3冠タイトルマッチを制した吉野さんですが、ボクシング以外の仕事をしているって本当ですか?

 はい。家族もできて、より良い練習をする自分への投資(フィジカルトレーニングなど)のためにファイトマネーだけでは十分ではないので建設関係の仕事をしています。

―奥さまはどんなお仕事をされているんですか?

 歯科衛生士です。妻も忙しいですが理解して自分のために協力してくれています。お互い仕事と育児を分担しているので、今日もこの取材が終わったら18時に息子を保育園に迎えにいきます。

―トレーニングと仕事の掛け持ちは大変そうですね。

 毎日、建設業の仕事が終わってから練馬の所属ジムへ通っています。朝5時に起きて現場まで行って、8時から17時まで働いたあとに三迫ジムへ移動します。18時半から21時頃までトレーニングをして、それから埼玉の自宅まで帰るので、就寝は0時になります。

―そうした生活をどれくらい続けているのですか?

 プロボクサーになってから5年経ちますが、当初3年ぐらいは工場勤務と掛け持ちしていました。2017年に日本ライト級王座決定戦で勝利し、チャンピオンになったので、そのあとの1年間はボクシング1本に絞ったんですが、より良い練習をするために必要な収入を得たいと建設の仕事をはじめました。ただとくに今年はコロナの影響がかなり大きいです。試合数も観客の数も少なくなってしまいました。僕はいま年間2、3試合しているのですが、なかなかみなさんのイメージするような金額をかせぐのは難しい。

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