―ご自身でもチケット販売もされているのですか?

 ごく一部のチケットを扱っているだけですが、SNSで宣伝して、購入してくださる方とDMで直接やりとりをするか、自分から周りの人へ「よかったら来てください」とLINEを入れてチケットを取り置いています。席の割り振りも自分でしています。だから試合で入場する時も、皆さんがどの席に座っているのか大体頭に入っています。

―スポンサー集めもチャンピオン自ら動いて行っているんですか?

 ジムが興行のためにスポンサーを集めてくれています。私は地元や東京の支援して頂いてる方にお会いするのに動いている程度です。

―高校時代からのエリートで多くのタイトルを獲得してきた吉野さんにも、ボクシングが“キツい”と感じる瞬間はありますか?

 仕事とトレーニングを両立させるのがしんどいです。朝早くから建設現場での肉体労働をして、それが終わったあとに、所属ジムでトレーニングをして、帰宅したら深夜で…っていう日々が身体にこたえます。現場では社長さんが気をつかってくれて、けがをしそうな作業は免除してくれているんですが、重いものを運ぶ作業なので終業する頃にはドッと疲れがきます。

—そうまでしてボクシングを続ける理由を教えてください。

 父と叔父がアマチュアボクサーであった影響で、高校からボクシングを始め、大学に進学したあともアマチュアボクシングで頑張っていました。オリンピック出場の夢が叶わなず大学卒業とともに一度引退してボクシングから離れましたが、同世代のボクサーたちがプロで活躍しているのを見て、もう一度ボクシングを、今度はプロの世界でチャンピオンになろうと決意し、プロ転向しました。階級的には、ライト級という世界でも層が厚く、過去日本人でもガッツ石松さん、畑山隆則さん、小堀佑介さんの3人しか世界チャンピオンが誕生していない難関の階級です。本場アメリカ、ラスベガスでもとても人気のある選手がひしめいているこのライト級は何億円ものファイトマネーが得られる夢のような世界です。そこに日本人として、なんとしても食い込んで世界チャンピオンになるのが僕の夢なんです。また僕の試合を見てたくさんの人に勇気や感動を与えられるボクサーになること、それもボクシングをしているモチベーションです。

―総合格闘技などへの転向を考えたりしますか?

 ボクシングの試合で稼げるので、まったくないです。でも確かに周囲には他の格闘技へ転向するボクサーもいますね。でも自分はボクシングが好きですし、世界王者になるという夢もある。自分のチャレンジしたいライト級は世界でも層が厚く、頂点に君臨する世界王者ワシル・ロマチェンコ選手は1試合で2億円も稼ぐと言われています。

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