林:へぇ~、多岐にわたって表現されてるんですね。しりあがりさんは、コロナの今の状況についてもコラムでお考えを寄せたり、漫画として描いたりしてらっしゃいますね。

しりあがり:「コミックビーム」という月刊誌に24ページずつ、4回描かせてもらったんです。震災のときも同じ雑誌でやったんですが、コロナのときも「何か描きたいことがあったらどうですか」と言ってもらって、好きに描かせてもらいました。

林:コロナって、最初のころは、台風の目の中にいる静けさみたいな、不思議な時間が流れてるような感じがしました。

しりあがり:震災のときはケガをしたという感じだったんですが、コロナは病気になったという感じがありましたね。家にいるだけなんですけど、「入院して安静にしていなさい」みたいな、日常からちょっと切り離されたような、不思議な時間でしたね。今思えば、ああやって家にいる時間というのも、それはそれで楽しかったなと思ったりします。

林:あの期間に、もっと有意義なことができたんじゃないかとか、みんな思ってるけど、でも、けっこういい時間ではあったんですよね。行くところがないから家族が家で集まるなんてかつてないことで、あれはあれでよかったのかもしれない。私も毎晩会食三昧だったのが、あの期間は本当に久しぶりに家で料理して、毎晩家族で食卓を囲みました。

しりあがり:リモート飲み会とかで、ふだん会わない人と会ったりしてね。遠くに離れた人と久しぶりに話をしたり。うちは実家が静岡で、東京から離れてるんですけど、週に1回リモートできょうだいが会うようになりましたよ。リモートなんだけど、定期的に顔を合わせるようになったのは大きな変化かもしれない。

林:働き方も変わって、べつに東京に住んでなくてもいいんだということもみんなわかってきて、「働き方改革」なんて政府が何年もかけてやろうとしたことが、あっという間に変わっちゃいましたね。教育もリモートでいいんじゃないかとか。

しりあがり:「変わらなきゃいけない」というもの、「変わるのはコワい」というものと、いろいろありますよね。

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