コンビニおでんの販売スタイルも新様式に(セブン-イレブン)
コンビニおでんの販売スタイルも新様式に(セブン-イレブン)

 コンビニ冬の風物詩、おでん商戦に変化が起きている。今年はレジの横で売られる鍋おでんだけでなく、カップスープタイプやレトルトパックなど、「新型おでん」のバリエーションが広がった。新たなおでんに込めた各社のねらいは? コンビニ大手3社に聞いた。

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 気温が下がるにつれて、店内で存在感を放つおでんは、コンビニの顔とも言える定番だ。通常、夏のさなかに「今年のおでん」のリリースが各社から出されるのだが、今年は新型コロナや酷暑の影響だろう、“新おでん”の情報が入ってくるのがいつもより2~3週間遅かった。その分、各社、商品開発に知恵を絞っているのだと思っていたが、フタを開けてみると案の定、劇的な変わりぶりだ。
 
 新タイプのおでんが増え、販売スタイルは三者三様。ここまでコンビニのおでん商材がバラエティー豊かになったのは、過去に例をみない。

■「Withコロナの新たな形でのおでん」を提案するローソン

 今年8月下旬、真っ先におでんのリリースを出したのがローソンだった。「Withコロナの新たな形でのおでん」とし、品ぞろえから売り方まで、随所に細かな新型コロナ対策が考えられている。
 
 変化のひとつは、メインである「鍋おでん」の具材すべてを90円均一にしたこと(一部エリアを除く)。価格をそろえたのは、「お客さまに価格を気にせず選んでいただきたいのと、接客時間の短縮や会話を減らすことができ、飛沫防止につながるため」と、広報担当の遊田久美子さんは言う。反響は大きく、例えば昨年135円だった牛すじが90円になったことで、家飲みニーズと相まって好調に売れているという。
 
 また、セット販売を始めたことも新しい。大根、たまごなど5品を入れた「定番セット」、炭火焼つくね串なんこつ入り、あらびきウインナーなど5品を入れた「おつまみセット」の2パターンをそろえた。上記同様、接客時間を減らすねらいがあったというが、「おつまみセットは男性に、定番セットは女性のお客さまからの人気が高い傾向がある」と遊田さん。

「サッと買える」販売スタイルが、例年以上に幅広い客層に支持されていることがわかる。

 さらに、家族で食事をする機会が増えたことから「自宅でおでんを楽しみたい」というニーズに応え、おでん種25個(つゆ付き)の「具材セット」も販売している。即食ニーズが高かったコンビニで、おでん種だけを販売する日が来るとは。生活様式が変わったことは、間違いない。

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