1つ目は「ここでがんばれば成長する」という確証のない思いで子どもをがんばらせすぎないこと。運動会は、子どもも親も先生も、普段よりもがんばろうとして心身にトラブルが起きるケースが多いです。特に子どもは親や先生からの「がんばろう」という一言に心や体を壊すほどのムリをすることがあります。本当に子どもがやりたいことならば、子どもは率先して行いますから、大人はがんばらせなくても大丈夫です。

 2つ目は運動会を「子どものための運動会」にすることです。運動会は保護者が見て楽しむものではありません。学校が地域や世間からの評判を集めるものでもありません。子どもが楽しんだり、日ごろの努力を発表したりする場です。学びの一環で行なわれる行事ですから運動会はほかのイベントに代用されてもよい行事です。保護者や世間の評判に気を取られた運営は控えるべきです。あくまで「子どものための運動会を」と。

2つの方針が広がっていけば、本当に苦しんでいる子のSOSにも気づきやすくなり、運動会のために疲弊する先生も減っていくと私は考えています。(文/石井志昂)

石井志昂(いしい・しこう)/1982年、東京都町田市出身。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた

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