本日10月11日は、旧体育の日(10月の第2月曜日)から近いこともあり、悪天候でなければ、多くの学校で運動会や体育祭が開かれたのではないでしょうか。一方、10月11日は「大津いじめ自殺」が起きた日でもあります。不登校新聞の編集長、石井志昂さんは、旧体育の日と大津いじめ自殺が起きた日が近いのは偶然ではないと指摘しました。
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大津いじめ自殺とは、2011年10月11日に滋賀県大津市内の中学2年生の男子生徒がいじめを苦に自殺するに至った事件です。第三者調査委員会の報告書によれば、男子生徒は体育大会の準備期間から体育大会 当日にかけて激しいいじめを受けていました。
具体的ないじめが目撃されたのは夏休み明けからまもなくの9月8日。グラウンドで綱引きの順番を待っているあいだに男子生徒は、ある生徒から首を絞められていました。このあとも日常的ないじめは続き、殴られる、蹴られる、消しゴムのカスを頭からかけられる、告白を強要させられる、土下座で謝らせられる、殴り倒され顔を踏みつけられるなどの激しいいじめを受けています。
体育大会当日、男子生徒はガムテープで手足を縛られたり、死んだハチを口にねじ込まれそうになったりして いました。事件が発覚してからよく報道された事実ですが、このいじめが体育大会当日に起きたことは、あまり注目されて いません。その後も男子生徒はいじめを受け続け自ら命を絶っています。
運動会シーズンにいじめが多くなることは、事件当時から専門家のあいだではよく言われていました。教員の眼が生徒に届きにくいなどが理由です。運動会にまつわる学校事情が大津いじめ自殺を引き起こした要因の一つだとも私は考えています。運動会が開かれるこの時期に、どうしていじめや不登校が増えていくのか。また対策としてどんな方針を取ればよいのかを書いていきたいと思います。
■「感動がなかった」 教員は保護者の評判が怖い
運動会シーズンの教員は多忙を極めます。行進、ダンス、組体操、各種競技など、普段とはちがう生徒への指導もありますし、多くの生徒が動くことでトラブルも頻発します。そして先生が恐れていることと言えば「保護者からの評判」です。