■機能を再建する手術やリハビリも

 咀嚼や嚥下などの機能が損なわれる場合は、からだのほかの部分から皮膚や筋肉、骨などを移植する「再建手術」をおこなう。

「多くの場合、がんの切除手術と再建手術は同時におこないます。がんの切除によりどの程度機能が損なわれるか予測し、再建も併せて治療計画を立てます。例えば嚥下機能の場合、単に皮膚や筋肉などを移植し形だけ作り直すのではなく、ちゃんとのみ込む機能が回復するように作り直します。そのための方法は数多くあります」(山下医師)

 術後は、嚥下訓練や発声訓練など、機能回復のためのリハビリテーションもおこなわれ、治療においては多科・多職種の連携が必要となる。

「最善の治療法を選択するためには、手術と放射線治療の治療実績がある病院であること、多科・多職種で連携して治療方針を決定していることが望ましく、少なくとも頭頸部外科と放射線治療科が協同していることが重要です。また、経口的手術をおこなう病院は増えつつありますが、まだどの病院でもできるものではないため、初期がんの場合は実施できる病院かも確認しましょう」(同)

(出村真理子)

<取材した医師>
北里大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授 山下 拓医師
国立がん研究センター中央病院放射線治療科 村上直也医師

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