

コロナ禍をきっかけに、ホテルでテレワークする人が増えている。仕事がはかどり、疲れを温泉で癒やせる宿はあるのか。ホテル評論家・瀧澤信秋さんは「優勢なのはやはり全国チェーン」と話す。
筆頭に名前が挙がったのが、山口県の「ドーミーインPREMIUM下関」。ドーミーインは81施設を運営し、業界でいち早く天然温泉に特化した大浴場を備えた。PREMIUMは高級ブランドに当たる。
「最上階の露天風呂から関門海峡を一望できるロケーションが魅力です」
北海道では、ホテルマイステイズプレミア札幌パークを推薦するという。
「中島公園駅から徒歩2分という立地に加え、天然温泉なのが魅力。スタンダードツインルームのデスクは、幅174センチ×奥行き55センチとパソコン作業向き。チェアもクオリティーが高い」
九州では、JR九州ホテルズが運営するブラッサム大分がお薦めだという。
「JR大分駅直結、地上80メートルの高さから市内を見渡せるシティスパはハイレベル。湯も天然温泉で、温泉県の実力を体感できます」
温泉ではないが、大浴場付きでテレワーク向きの宿として瀧澤さんが薦めるのは、28店舗を持つベッセルホテル開発が展開するレフ大宮だ。
「今年9月にオープンしたばかりで、机が使いやすく、浴場のレベルも高い。地域色を打ち出した朝食ビュッフェも素晴らしい。大規模チェーンをよく研究し、それを超える仕事をしています」
一部の部屋ではテレビ会議対応の40型テレビを備えており、HDMIケーブルの貸し出しも行う。支配人によれば、日帰りテレワークプランを利用する客も多いという。
■感染対策はしっかりと
旅先では解放感から気持ちも緩みやすいが、新型コロナの感染対策にも十分気を付けたい。
旅行業界で構成する旅行連絡会は、「新しい旅のエチケット」を作成。旅行者視点で、「移動」「食事」「宿泊」など状況別に注意点をまとめている。
市内の宿泊施設の従業員らを対象として月に1度、PCR検査を実施すると発表したのが栃木県那須塩原市。実施費用は入湯税から賄うとして、税率引き上げを定めた条例が市議会で採択された。市商工観光課によれば、他の観光地同様に那須塩原市でも観光客減少のダメージは大きく、今年上半期の客数は前年度の約半分にとどまった。今回の入湯税引き上げには、他地域との差別化を図る狙いもあったという。
「最も大きな狙いは、誰もが安心・安全な観光体制の整備。今後とも各方面に丁寧に説明を行い、取り組みを推進していきたいと考えています」(担当者)
気がつけば11月も目前。温泉にゆっくりつかりながら、新しい年の過ごし方を模索したい。(本誌・松岡瑛理)
※週刊朝日 2020年10月30日号より抜粋

