瀬戸内のことを作家だから毎日気が変わって当然だと仰いますが、横尾先生は5分前に決めたことが5分後には百八十度変わるなんてことはありますか?

 瀬戸内はそうです。好きが嫌いに、おいしいがまずいに。私はそこまで極端に変わることが不思議でなりません。

 私が作ったキムチ鍋をそのときは「おいしいね!」と言ってくれたのに、翌日「おいしくなかった」と私に言います。どっちが本当なんでしょう? 私はそんな瀬戸内の一言にこの10年間一喜一憂しています。

 スカートをめくってパンティを見せる話、横尾先生よく覚えていらっしゃいましたね。瀬戸内がそのことをよく言うので、サイン会で一度、読者の男性の方が新品の下着をくれました。それももうとうの昔の話で、年を重ねていくたび、瀬戸内愛用のおへその上まである下着に近づいているのでもう披露できそうにありませんし、誰も見たがりません。あの世で感動的な再会を果たしたあとは、もっぱら「先生のはいていた下着、あったかくていいですねぇ」「だから言ったでしょう。まなほはバカにしていたけど。あんな小さいパンティは頼りないって」とそんな話で盛り上がるでしょう。

 寂庵画塾の件では瀬戸内が「三日坊主ではない」と反論しました。確かに厳密に言うと1カ月は大盛会だったと思います。「また描くよ!」と瀬戸内が言っています。また出来上がりましたら横尾先生にご覧いただきたいです。

 今夜は私が寂庵へ泊まり込みます。真夜中に瀬戸内から呼ばれてもグースカ寝ていて気付かなかったら、と思うと既に心配でなりません。眠りながら起きている方法、横尾先生ご存じではないでしょうか?

瀬尾まなほ

週刊朝日  2020年11月6日号

暮らしとモノ班 for promotion
【フジロック独占中継も話題】Amazonプライム会員向け動画配信サービス「Prime Video」はどれくらい配信作品が充実している?最新ランキングでチェックしてみよう