その時点でイチロー本人の気持ちは「特定の学校ではなく、時間が許せば全国の野球を見てみたい」というものだったが、将来的には甲子園の舞台で鈴木一朗監督が采配を振る可能性はある。日米通算4367安打を放った技術と、それを可能にした精神力を受け継いだ高校生たちを、是非とも見てみたい。

 現役のNPB監督の中では、日本ハムを率いて9年目となる栗山英樹監督を推したい。監督就任前には解説者、スポーツキャスターとして活動。『熱闘甲子園』の印象も強く、2002年には私財を投じて自ら完成させた野球場「栗の樹ファーム」などを通して少年野球の普及にも貢献している。監督就任後は優れたマネジメント力とともに、特に若手育成に手腕を発揮。前例にとらわれずに常に新しいものを取り入れる指導法で、魅力溢れる高校生チームを作り上げることができるのではないか。そんな新時代のチームを、是非とも見てみたい。

 日本人メジャーリーガーのパイオニアである野茂英雄の場合はどうか。選手時代の実績は申し分なく、引退後はNOMOベースボールクラブを創部してプロ選手も輩出している。物静かではあるが、その分、言葉に重みがある。メジャー移籍の際の経緯もあってか、引退後はキャンプでの臨時コーチ止まりだが、その短い期間でも優れた指導力を発揮しており、高校野球の監督としての適性も高いのではないか。自らが日米を舞台に巻き起こした「トルネード旋風」を、今度は高校野球の舞台で。甲子園のベンチから教え子たちを見つめる姿を、是非とも見てみたい。

 可能性の大小はともかく、松井秀喜が指導する高校生チームも見てみたい。星稜高校時代に甲子園で5打席連続敬遠を受けた後、巨人で日本一、ヤンキースで世界一に輝いた日本が誇るゴジラ。選手時代の数々の経験が人間としての器を大きくし、その人柄も含めて指導者としての資質は高そうだ。ファンが真っ先に求めるものは「巨人軍監督」だろうが、将来的に可能ならば高校の監督にもなってもらいたい。もう一度、星稜高校のユニフォームに袖を通した姿を、是非とも見てみたい。

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可能性は低いが見てみたい“あの人”