成光舎の代表者のA氏は外国籍だったことだ。A氏は2011年当時、民主党政権の首相だった菅直人氏にも120万円を献金したが、これが違法献金にあたると本誌や朝日新聞などが2011年3月に報じた。だが、菅(義偉)首相への献金は成光舎の名義だったことや当時、自民党は野党だったことなどで不問にされた。
成光舎はなぜ、県有地を随意契約できたのだろうか?
「購入できたのは、成光舎が隣接する南側に位置する土地をすでに所有していたからだ。だが細長い数十メートルの南側は、県有地と一体にならなければ、使えそうにないような土地。ところが、成光舎は06年に細長い土地を東京都のS不動産から購入。S不動産の社長Bはいわくつきの人物です。Bの名前が広く知られたのは18年11月、大手住宅メーカーの積水ハウスが55億円の詐欺被害を被った地面師グループの事件です」(地元の不動産関係者)
成光舎に南側の土地を売ったS不動産のB氏は積水ハウス詐欺事件で55億円の送金先の銀行口座を用意した容疑で逮捕されていた。捜査関係者はこう話す。
「Bは昔、山口組など暴力団と深い関係にあった。彼の手掛ける不動産はほとんどが事件モノです。暴力団と関係が深いので、逮捕されたのは、積水ハウスの事件だけでなく、何度もあります」
成光舎やB氏はなぜ、横浜市の県有地や周辺の土地を買い漁ったのか。
前出の捜査関係者がこう解説する。
「『県有地がいずれ売りに出るから安いうちに買っておけ』と親しい暴力団に言われて、購入したとB氏は話していた。08年に警視庁が立件した恐喝未遂事件でも『Bと反社会勢力とのつながり』が記された供述調書が裁判で証拠採用されている。成光舎は反社会的勢力と深いつながりがあるB氏から二束三文の土地を買い、県有地を随意契約で取得。転売禁止を破って、巨額の利益を懐にした。法秩序を無視するような取引だが、神奈川県はなぜか、不問にしている。菅さんにとって成光舎は多額の献金をくれたり、自身が所有するビルまで買ってくれるなど“タニマチ”的な存在。本当にこの土地取引は問題ないのでしょうか?」
菅首相は国会でこの疑惑についてきちんと説明するべきだろう。(本誌取材班)
※週刊朝日オンラインン限定記事