人気アニメ「鬼滅の刃」の映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の勢いが止まらない。興行収入は公開後の10日間で100億円を超え、アニメ映画『千と千尋の神隠し』の25日間を抜いて史上最速を記録した。全国に広がる「鬼滅ブーム」は、なぜ収まることなく続いているのか。その魅力とはいったい何なのか。「鬼滅ファン」として知られる、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんに話を聞いた。
淳さんが鬼滅にはまり出したのは昨年の夏ごろ。出演した番組で後輩芸人の椿鬼奴さんが鬼滅の魅力を語っていたことがきっかけで、原作やアニメに浸るようになったという。鬼滅のどんなところに魅せられているのか。
「大正時代の物語なのに、令和における人間関係をすごくよく表していると思いました。例えば僕は、『ネットで誹謗中傷する人たち』を、鬼にみたてて観ています。鬼は姿かたちを偽ったり隠したりしながら、汚い言葉を浴びせて卑怯な手段で戦います。一方の主人公・竈門炭治郎は、そうした鬼にも正面から向き合い、葬るときにはきちんと手を合わせている。人間としてすごいなと思います。僕の場合は『ネットの誹謗中傷』ですが、解釈は人それぞれ。大勢の人が自分の価値観や人生観と照らし合わせて感情移入できるような作品だからこそ、コロナ禍においてもあれだけのヒットをしたのだと思います」
映画鑑賞時は、すでに原作でストーリーを把握していたという淳さん。それでもなお、「映画を観てよかった」と話す。
「原作は読んでいたけど、声優さんの声をあてると、こんなにも物語に情緒が出るのかと驚きました。僕は映画を観て涙が出ましたが、気持ちのいい涙というよりも、悔しさの入った涙でした。僕がダントツで好きな煉獄杏寿郎(映画の主要キャラ)は、鬼と戦うときに『剣士として』『人として』鬼と向き合っているのに、鬼は自分のエゴで戦っています。弱い者から片付けようとするし、戦い方にも卑怯な感じがにじみ出ている。だからやるせないし、ただただ泣けるというような作品ではなかった」