過去を包み隠さず明かし、気丈に振る舞う里美さん。だが、ショッキングな強盗事件に遭遇したことに加え、その後、メディアのインタビューに多数出演したことで、ネット上では『売名行為』などと批判を投げかける人もいる。心は折れないのだろうか。
「国税局にしても、強盗にしても、もう一刺しで来てくれって思いましたよ。全力で生きていると、立ち向かってくる人もいる。けど、生かされちゃったから、とりあえず負けずにやっていくしかない。でも、心はとっくに折れていて、折れっぱなしよ」
そんな里美さんが、これまでで一番、傷ついたという出来事を明かしてくれた。
親からの愛情は受けず、自力で生き抜いてきた里美さんは、23歳で最愛の恋人と巡り合う。2歳年上のその男性は、恋人としてだけでなく、父親でもあり、友人でもあった。
「彼にすべての役をやってもらってね、依存してしまった。彼を両手で囲うようにして大事にしていたのよ」
しかし、クラブで出会った人から、儲かる仕事があるとそそのかされ、男性はカード詐欺を働く。何度も引き留める里美さんに、男性はこう言い放ったという。
「辞めてくれって言うけど、お前はAVやめれんのか」
「AVは犯罪ではないじゃない」
「お年寄りをだましているわけじゃない。カード会社が補償するんだから」
結局、男性は逮捕されて服役することになった。
「大好きな彼を失って、空っぽになってしまった。寂しすぎて、ウサギみたいな気持ち。寂しさを埋めるように、そこから男に走ってね……」
総じて若気の至りだったと、里美さんは振り返る。
「犯人の少年たちも同じだろうけど、まっとうに生きろと言われるのは嫌なんですよ。なにふざけたことを言ってんだってね。まっとうじゃなくてもいい。私のポリシーは、人を傷つけるようなことはしないってこと。私も道は外れてきたけど、身を売ってでも稼いでいくしかないから、これでいいの。私はエロで人に夢を与えているんだから」
今回の強盗被害は、波乱に富む彼女の人生における一幕に過ぎなかったのかもしれない。
すでに20社以上ものメディアから取材を受けたと言う里美さんの声は、かすれて聞こえた。玄関で取材するさなか、時折開けられるリビングの扉から、ケージが見えた。中には、ピンと立ったウサギの耳があった。招かれざる客の相手する主人を心配するかのように、こちらに耳を向けていた。
(本誌・岩下明日香)
※週刊朝日オンライン限定記事