竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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ローソンゲートシティ大崎アトリウム店内で10月に、鬼滅のイラスト展示などのコラボ企画を実施しました
ローソンゲートシティ大崎アトリウム店内で10月に、鬼滅のイラスト展示などのコラボ企画を実施しました

「コンビニ百里の道をゆく」は、51歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

【写真】ローソンゲートシティ大崎アトリウム店内で行われた「鬼滅の刃」とのコラボ企画

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 アニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が大ヒットを記録中です。街中でもニュースでも「鬼滅」の文字を見ない日はないほど。ローソンではおにぎりやからあげクンなどコラボ商品を発売し、ご好評いただいています。

 当初は、コラボ商品を目当てに子どもたちが保護者の手を引っ張って来店する姿が印象的でした。それが今や、お客様の層が急速に拡大しています。世代やジェンダーを問わず、二言目には「鬼滅すごいよね」。そんな声をあちこちで聞くようになりました。

 ローソングループのユナイテッド・シネマでも、政府の指針に従って、感染対策を徹底しながら鬼滅を上映しています。満員御礼の上映回も多く、エンタメ業界も元気を取り戻しつつあるように感じています。

 公開延期を決める作品があるなかで、鬼滅は当初から一貫して10月に公開すると聞いていました。感染の状況次第では思うように観客を動員できない可能性もあったはずですが、ぶれることなく上映を実現されたプロダクションの方にも感謝しています。

 なぜ、これほどまでに鬼滅が心を打つのでしょうか。映像の美しさはもちろんですが、「正義感」や「誰かのために」といった思いが具現化されていることが、理由の一つだと感じています。

 特にコロナ禍で、人生や生き方について、改めて考える時間が増えたと思います。鬱屈とした日々に「これだ!」と心に響き、涙する。コロナ禍でなくとも、大きなヒットを呼ぶ作品だと思います。ですが、今このタイミングで公開されたことが、日本にとって大きな活力になったのではないでしょうか。

 これから冬に向かい、寒さが厳しくなるにつれて第3波への懸念も増します。それでも、エンタメの灯を消すことなく、感染防止との両立を徹底していきたいと思います。

竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長