日本は100歳以上が5万人を超える長寿国。しかし、死ぬまで寝たきりにならず、自立して生活している人は少ない。メディカルガーデン整形外科院長の伊藤晴夫さんによると、同じく長寿国のスウェーデンではかつて日本と同様に寝たきり老人の姿がみられたが、そこから大幅に状況改善した過去があるという。
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少し古いデータですが、日本の介護施設における寝たきり老人の割合は33.8%。同じ長寿国のスウェーデンの介護施設の寝たきり率は4.2%ですから、大きな違いです。
でも実はスウェーデンも以前は日本のように病院の大部屋でお年寄りが並んで寝ている姿がありました。ところが1992年に福祉制度の抜本的改革が起こり、福祉行政を国中心から自治体に変えることで、ケア付き住宅や個室付きホームが町中に整備された。これが功を奏したんですね。
税金で、お年寄りたちが個室付き老人ホームに入り、自立しながら他人とコミュニケーションをとり、週末は近所にいる家族と過ごす。それにより必要のない長期入院が減少し、寝たきりも激減したといいます。
※週刊朝日 2013年3月1日号