歳末の恒例行事になった感すらある、ふるさと納税。いよいよ申込期限が迫ってきた。コロナに苦しめられた年だけに、少しでもお得な返礼品を手にするもよし、困っている人を助けるべく無私の寄付をするもよし。今年らしい使い道を考えて。
ふるさと納税の返礼品にも、コロナ禍の影響が及んでいる。
コロナのために被害を受けた生産者を支援すべく農林水産省が始めた「#元気いただきますプロジェクト」と、ふるさと納税が合体した「ニコニコエール品」という仕組みが生まれた。農水省の補助事業を活用することで、通常よりも増量される返礼品のことだ。各自治体が取り組みだし、魅力的な返礼品が用意されている。ただし期間限定なので注意を。
コロナ禍の影響といえば、オンラインを用いたサービスも多々発案され人気を博している。
長崎県壱岐市では、朝市の様子をライブ配信したうえで、品定めした商品を詰め合わせて届けるサービスが好評だ。福岡県大牟田市では、オンラインで大牟田市動物園を見学させてくれたうえで、動物園オリジナルグッズを届けてくれる。
代行サービスも盛んだ。月に1回、市内在住の高齢者の自宅を訪れる見守りサービス(愛知県田原市など)、空き家の見守り(茨城県常陸大宮市など)、墓守代行(福島県南相馬市など)もあり、帰省できない人にとってはありがたい。
さて、どうしてもお得さにばかり目がいってしまうが、ふるさと納税を利用して、純粋に寄付をしようという動きも高まっているという。公的なクラウドファンディングが、ふるさと納税の仕組みを用いているのだ。返礼品の掲載数、契約自治体数などで1位を誇るサイト「ふるさとチョイス」の広報・田中絵里香さんが語る。
「お金の使い道を明確にして、寄付を募っています。返礼品がないものもたくさんありますが、コロナ禍で困っている人の助けになればと思う人が多いようです。寄付と一緒に応援メッセージも送れるところが多いですね。今年1月から6月にふるさとチョイスを利用した返礼品なしの寄付は、昨年同期と比べて金額で1.8倍、件数で2.4倍に増えました」
まさに、困ったときはおたがいさま。多くの自治体がこの制度を利用して寄付金を募っている。経済的に苦しい家庭の子どもに食事を提供するなど、多種多様なプロジェクトがある。
以上のような今年の傾向を踏まえて寄付をするに当たり、田中さんが助言してくれた。
「12月に集中して寄付をしたため、返礼品が大量に送られてきて冷蔵庫や冷凍庫に入りきらないというケースもあるようですから、ご注意を。ふるさと納税は年間を通じてやっています。各地の旬の逸品を楽しむということを考えたら、一年を通じて食べたいものを申し込むほうが良いと思います。来年以降はそのやり方を試してみてください」
とはいっても、まずは目先の今年分をどうするか。いろいろ参考にしてはいかが。(本誌・菊地武顕)
※週刊朝日 2020年12月18日号より抜粋