21年度の就活(22年度の入社)はどうなるのか。JTBが新入社員採用の見合わせを発表するなどコロナ禍の影響は続く。また、トヨタ自動車が技術系社員の新卒採用について学校推薦を廃止し、自由応募にするなど、新卒採用の形態も変わりつつある。
ディスコが実施した大学の就職・キャリア支援活動に関する調査によると、21年度の採用活動において就職ガイダンスを「オンライン化した」と答えた大学は85.7%に上った。就職活動が本格化する採用広報解禁(3月1日)の前の学内セミナー(業界・企業研究セミナー)についても、「オンラインでの実施が決定している」と答えた大学は31.9%、「オンラインでの実施を検討中」と答えた大学は54.3%もあった。
同社調査部門研究員の松本あゆみさんは言う。
「オンライン化が進む一方で、学生が大学に足を運ばないために案内が行き届かず、参加者が減っているケースもあります。就職活動の前半で学校の存在感を見いだせなければ、フォローが必要な後半戦のタイミングで学校の存在を思い出すことができません。そのような意味では、大学が学生との接点をいかに作り出せるかが鍵になります」
学生のメンタルケアも重要だ。千葉商科大学准教授で働き方評論家の常見陽平さんが指摘する。
「就職活動でうつになってしまう学生はコロナ以前からいました。自発的に相談に行けるのはその中でも一部で、実際には既に連絡も入れられないくらい追い詰められている学生もいます」
オンライン化が進めば、学生側が発するシグナルがさらに捉えにくくなるという。
「定員があるために説明会などの予約が取れず、『心が折れた(諦めた)』状態になっている学生が現状、一定数存在します。大学からすれば見えにくいかもしれないので、教員や学生相談室など大学で学生にかかわっているすべての層が気にかける必要があります」
常見さんは、学生に対してこう呼びかける。
「一番言いたいのは『一人になるな、とことん頼れ』ということです。就職活動はそもそもが大変なこと。人に頼ることは甘えでも何でもありません。つながりをうまく生かせる人ほど、就職活動もうまくいく場合が多い。昔の友達、大学の教員、公的機関など、自分から助けを求めていってほしいと思います」
(本誌・松岡瑛理)
※週刊朝日 2020年12月18日号より抜粋