09年のローマ世界選手権は、60年五輪のプールで開かれました。石造りのサブプールなど歴史的建造物の趣があります。東京・原宿にある64年東京五輪の代々木オリンピックプールにも大理石が使われています。建築家・丹下健三さんのデザインは、日本の戦後復興の象徴のような意味や、スポーツを文化として振興していく意思を感じます。

 東京アクアティクスセンターの五輪後の有効利用については、先月ハンガリー・ブダペストで行われた競泳の国際リーグ(ISL)会場のドゥナ・アリーナが参考になりそうです。国際大会が開催できる国営プールは試合がないときに一般開放され、五輪金メダリストのカティンカ・ホッスーらトップ選手の練習拠点としても使われています。

 東京アクアティクスセンターが水泳普及と競技力向上のための大きな刺激となることを願っています。

 今号はネコ特集ということで、早大水泳部時代の思い出を少し。稲泳寮の夕食に一人遅れて、取り置いてあったハンバーグを食べようとしたら、いつもは二つなのに一つしかない。だれかが食べたなと思って皿を見ると、うっすらネコの足跡らしきものが。そういえば棚のガラス戸が少し開いていた……。40年近く経つのに、がっかりした思い出が蘇ってきました(笑)。

平井伯昌(ひらい・のりまさ)/競泳日本代表ヘッドコーチ、日本水泳連盟競泳委員長。1963年生まれ、東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。86年に東京スイミングセンター入社。2013年から東洋大学水泳部監督。同大学法学部教授。『バケる人に育てる──勝負できる人材をつくる50の法則』(朝日新聞出版)など著書多数

(構成/本誌・堀井正明)

週刊朝日  2020年12月18日号

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平井伯昌

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平井伯昌(ひらい・のりまさ)/東京五輪競泳日本代表ヘッドコーチ。1963年生まれ、東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。86年に東京スイミングセンター入社。2013年から東洋大学水泳部監督。同大学法学部教授。『バケる人に育てる』(小社刊)など著書多数

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