これまで「保活」と言えば、早くから戦略的に動き、高倍率の入園を勝ち取ることを意味してきた。10カ所以上の保育園を見学するケースも珍しくない。産前産後に知り合ったママ友たちと言葉を交わすことで得られる生の情報は、保育園選びを大きく左右した。だが、コロナ禍により、児童館などの利用も制限され、母親同士の横のつながりも絶たれつつある。両立支援コンサルティングをする曽山恵理子さんは言う。
「コロナ禍で、自分に合った園かどうかを見極めるのに苦戦している人が本当に多い。特に第1子の場合、その傾向が強い」
曽山さんは、自身が暮らす杉並区において、子育て支援を行う「杉並こどもプロジェクト」の代表としても長年活動してきた。杉並区では一定の条件を満たした場合、0歳よりも1歳入園のほうに点数が高くつくため、今年は無理せず1歳での入園に切り替える人が多い傾向にあり、なかには、2歳入園を考え始めている人もいるという。
「特に、3年間の育休を取得できる公務員にはその傾向が強いです。ただ、2歳以上になると入園の枠は少なくなる。上にきょうだいがいる場合は入園できる可能性がありますが、第1子で2歳入園は厳しいことは把握しておくべきです」(曽山さん)
曽山さんは今年7月、有料の保活相談をオンラインに切り替え、これまで15人ほどの相談に乗ってきた。一般的に、育休制度のない自営業やフリーランスの母親たちは正社員に比べ点数の面で不利になるため、持ち上がりのない0歳での入園を希望するパターンが多い。だが、今年は自営業やフリーランスの母親たちからも「入園できる確率が下がったとしても1歳での入園を目指すか悩んでいる」という声を聞いた。(ライター・古谷ゆう子、小野ヒデコ)
※AERA 2020年12月21日号より抜粋