アベ相場はまだ続いている。株価は、もういい頃合いだと考える向きも出始めた一方で、じりじりと値を上げてもいる。しかし、決算発表をきっかけに、一時的に神経質な展開になる可能性があると専門家たちはいう。

 4月中旬になると、3月期決算の会社で今年度の実績と来年度の業績見通しが相次いで発表される。円安効果が企業業績にどれだけ表れているのか、安倍政権になって初めて明らかになるのだ。外資系証券出身の保田隆明・小樽商科大学大学院准教授は、「アベノミクスで高まった期待には裏付けがあるのか。まずは企業業績で審判が下されることになる」。

 注目されるのは来年度の業績見通し。株式市場は常に先行きを織り込んでいくからだ。だが、日本の企業は、期初から強気の予想を出さないケースが多いため、期待しすぎた相場には、「失望売りが広がる可能性がある」(住友生命保険副社長や泉証券社長を歴任した木村輝久・日本個人投資家協会副理事長)。

 さらに、今回はこれまでと違った理由もあるという。「円安効果で好調でも、企業側は大風呂敷を広げにくい。労組から賃上げを要求されかねないからです」(大手ネット証券カブドットコムの河合達憲チーフストラテジスト)。つまり、夏までは決算発表をきっかけに、期待が薄れて株価が調整されるリスクがあるというわけだ。

週刊朝日 2013年3月22日号