平均年齢は46歳。それでも、AKB 48に負けんばかりの歌とダンスを披露する。彼女たちの名は「サムライローズ」。彼女たちが輝ける理由とは――。
異色のアイドルユニットは2009年9月に生まれた。翌10年10月にはメジャーデビュー。今年2月に5期生が加入したことで、今や40代を中心に35歳から58歳まで、総勢79人に膨らんだ。北海道から九州まで全国14地区に分かれ、基本的に各地区単位でライブやイベントで歌い、踊る。
ファンは40代を中心に、男女比は半々という。もともと、リーダーで人材派遣会社の社長でもある平松貴子さん(47)が、離婚経験者やアラフォーの友人たち5人で立ち上げた。
平松さんはシングルマザーとして、女手一つで娘の綾子さんを育ててきた。
事業も軌道に乗り、子育ても終わりに近づいた頃、ふと周りを見渡すと「孤独」な自分に気がついた。普段は「社長」と呼ばれているが、社長でなくなった時、人は離れ、私には何が残るのだろう──。
「損得勘定抜きで、笑いあえる仲間がほしい」
知人で作家、プロデューサーの泉忠司(ただし)さん(41)に相談。若い頃に夢見た、アイドルグループの立ち上げを思い立つ。「サムライ」と名づけたのは、世界にも通用する、との思いを込めたからだという。
メンバーになる条件は、
「自分でアラフォーと思っていればOK。ただし、還暦を迎えると卒業です」
と泉プロデューサー。
とはいえ、全員が「素人」。会社員もいれば主婦もいて、立場は様々。子育て中のママや、孫のいるメンバーもいる。
「恋愛禁止」といったお堅い決まりはなし。グループ内の「掟」は単純で、(1)人の悪口を言わない(2)個人の事情を持ち込まないの2点だけ。
「恋愛は自由ですが、自己責任で。大人の集まりですから」(泉プロデューサー)
結婚、子育て、離婚、親の介護……。アラフォーともなると様々な悩みを抱え、年齢を理由に夢をあきらめ、ともすれば自分の存在価値すらわからなくなることもある。彼女たちにとってサムライローズは、自分らしく輝ける場なのかもしれない。
※AERA 2013年3月18日号