八木さんはそう話す。片山さんも肯定的な考えだ。
「寺社がある現地ではなく、遠くから参拝する遥拝(ようはい)という方法がありますが、それと同じようなことと考えてもいいと思います」
ただし、2人ともその御朱印をオークションサイトに出品したり、高値で転売したりするのは言語道断と強調する。
また、御朱印の郵送について、八木さんは別の見方も示す。
「コロナの影響もありますが、実はそれ以前から神社やお寺は収入減で運営が厳しいところがあります。郵送の御朱印は一種のクラウドファンディングで、寺社を支える行動の一つでもあるのです。氏子や檀家(だんか)だけでなく、みんなで支えるという考えで、よいことだと思います」
このように、寺社は古くから常に新しい行動をしてきた。近年では、京都・鞍馬の貴船神社(京都市)がおみくじにQRコードを付けて3カ国語で内容を読めるようにし、参拝者がSNSでそのことを広げた。こうしてITを積極的に活用し、認知度を上げている寺社もある。
「今後、紙ベースではなく、デジタル御朱印が出てくるかもしれないですよ」
八木さんは予想する。
片山さんは、集めた御朱印についてこう話す。
「神様からのお下がり、仏様そのものと教えられました。郵送でも直接いただいても、ありがたさは同じです。いつまでも大切にしてほしいです」
(本誌・鮎川哲也)
※週刊朝日 2021年1月1‐8日合併号