注意したいのは、御朱印を書いているところがSNS映えするからといって無断で撮影することだ。神聖なものなので、書き上がるのを静かに待つのがよい。
「こうしていただける御朱印は、自分だけのために書いてもらえるので特別感があります。日付があることで後に見返すと、御朱印をいただいたときのことを思い出しますからね」(片山さん)
描かれた御朱印にはいろんな意匠があり、メッセージがある。それが御朱印集めの人気に拍車をかけている。
「文字だけでなく絵や絵文字を入れるなど、工夫している寺社が増えましたね」
八木さんはそう語る。絵画のようなもの、絵巻のようなもの、切り絵ありと、さまざまな絵柄の御朱印が誕生している。特にここ3、4年でさらに進化しているという。
「秀吉とねねのお寺として知られる高台寺(京都市)では、夜間拝観時限定ではありましたが、光る御朱印を授与していました」
片山さんは楽しそうに話す。
また、古峯神社(栃木県鹿沼市)は、ご祭神の使いとして古くから信仰される天狗(てんぐ)の絵を見開きで描く御朱印で有名だ。絵画的御朱印の代表格で、当日出社している書き手の中から選ぶこともできる。
コロナ禍の中、疫病退散を願い、アマビエを描いた御朱印もいくつかの寺社でもらえる。その中の一つである春日神社(香川県丸亀市)の御朱印のアマビエの絵は「絵を描くことで地域活性化できないか」との思いで活動している地元の大学生に協力してもらっている。この御朱印は、同神社のホームページから注文することができる。
コロナ禍の影響もあり、春日神社のように御朱印を郵送する寺社が増えている。
ただ、本来は寺社に参拝することでもらえるものだ。この点はどうなのか。
「江戸時代から、お参りをしたい人に代わって寺社詣でする代参(代理参拝)という風習がありました。民俗学的にみて、郵送で御朱印をいただくのは代参の一つと捉えていいのではないでしょうか。だから、特に問題はないと考えます」