2021年・丑(うし)年がスタートした。丑年は「我慢」や「新しいことが芽吹く年」と言われる。今回は、「我慢」を象徴するオイルショックの年(1973年)に生まれ、2020年も辛酸をなめてきた3人の丑年芸人たちを取材。「年男」となった今年は再ブレークに向け意気軒高と思いきや、どこかマイペースで「牛」のよう……。
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「仕事量ですか?ブレーク時とは雲泥の差ですよ……」
そう語るのは、丑年芸人の一人、スギちゃん(47)だ。コロナ禍の影響もあり、現在の仕事量は、ブレーク時の10分の1ほどに激減。その声の調子には、「ワイルド」よりも哀愁がにじみ出ている。
『R-1ぐらんぷり2012』(フジテレビ系)で準優勝したことで一躍時の人に。袖を引きちぎったデニムジャケット姿で繰り出す「ワイルドだろぉ?」のフレーズは、同年の「新語・流行語大賞」の年間大賞に選ばれるほどだった。
「ブレーク時はスタジオでの収録がほとんどでしたが、この数年は、週1~2回。地方番組のロケがメインの仕事に変わり、休みも多くなりましたね」
そこにコロナが直撃。昨年2~10月は、仕事がほぼなくなったという。一方で、私生活ではビッグイベントもあった。6月に第2子が誕生したのだ。
「子どもも、テレビに出ているお父さんがいいはず。でも、周りを見渡せば、夏ごろから徐々にステイホームが明けて番組に出始める芸人が増えている中、『あれ?自分だけ動いていないぞ』と。少し焦りましたね」
自身の代名詞でもある「ワイルドだろぉ?」のフレーズは、このまま続けていいのか葛藤もあったという。
「実は自分が一番、飽きているのかもしれません。ちょっと変えてみたくなる。お客さんには、これまでのネタはウケなくなっているけど、変えたら変えたで、『あれれ?』となるんです。一度、自分のワイルドではなく他人のワイルドを紹介しようとスタイルを変えた時期がありましたが、他の芸人に、『あの人は血迷っている』と言われてしまい……」