篠山紀信氏が本誌の表紙を撮り始めたのは、1978年。以後20年もの長きにわたって飾ったスターたちの貌(かお)は、時代を映す貴重な鏡である。
【写真】山口百恵、吉永小百合、夏目雅子…篠山紀信「伝説の表紙」72枚はこちら
* * *
20年間にわたって本誌の表紙を撮り続けた篠山紀信さん。改めてその傑作選を見て、こう語った。
「皆さんね、本当のプロとしての役者の顔をしていないんです。ちょっとズレている。ここに出てくるくらいの人たちは、毎週のように撮影があるでしょう。彼女たちにとっては、それは戦い。だから必ずカメラに向かって、挑むような強い表情をするんです。それもいいんだけど、『週刊朝日』という媒体を考えたら、フッと見せる自然な表情がいいんですよ」
思いがけない姿を見せてくれたのが、山口百恵だ。
「百恵さんが当時やっていたお芝居に、哀しい場面があったんです。それをもう一回思い出して、とお願いしました。静かに待っているうちに、彼女の感情が込み上げてきて。涙があふれてきたんです」
奇跡のショットの瞬間だ。
表紙に出てくる人物は、その時代の華。既に強いイメージが読者に植え付けられている。
それだけに難しかったし、撮りがいもあったと篠山さんは語る。