監督 ヤン・コマサ/15日からヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開/115分(c) 2019 Aurum Film Bodzak Hickinbotham SPJ.― WFSWalter Film Studio Sp.z o.o.― Wojewodzki Dom Kultury W Rzeszowie ― ITI Neovision S.A.― Les Contes Modernes
監督 ヤン・コマサ/15日からヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開/115分(c) 2019 Aurum Film Bodzak Hickinbotham SPJ.― WFSWalter Film Studio Sp.z o.o.― Wojewodzki Dom Kultury W Rzeszowie ― ITI Neovision S.A.― Les Contes Modernes
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監督 ヤン・コマサ/15日からヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開/115分(c) 2019 Aurum Film Bodzak Hickinbotham SPJ.― WFSWalter Film Studio Sp.z o.o.― Wojewodzki Dom Kultury W Rzeszowie ― ITI Neovision S.A.― Les Contes Modernes
監督 ヤン・コマサ/15日からヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開/115分(c) 2019 Aurum Film Bodzak Hickinbotham SPJ.― WFSWalter Film Studio Sp.z o.o.― Wojewodzki Dom Kultury W Rzeszowie ― ITI Neovision S.A.― Les Contes Modernes

 2019年のヴェネチア国際映画祭を皮切りに、数々の映画祭で絶賛された「聖なる犯罪者」。第92回アカデミー賞国際長編映画賞に「パラサイト 半地下の家族」などとともにノミネートされた。監督は本作が3作目となるヤン・コマサ。

【衝撃の実話の映画化「聖なる犯罪者」の場面カットはこちら】

 ポーランド。20歳のダニエル(バルトシュ・ビィエレニア)は殺人罪で少年院に入れられ、更生のための労働やカウンセリングを受ける日々を送っていた。その中で出会った神父の影響で熱心なキリスト教徒になり、前科者は聖職者になれないことを知りながらも、神父になることを夢見ている。仮釈放が決まり、ダニエルは遠く離れた田舎の製材所に就職することとなった。

 道中、偶然立ち寄った教会で、ひょんなことから新任の司祭と間違われ、そのまま司祭の代わりを務めることに。やがて親しみやすいダニエルは村人たちの信頼を得ていく。人々を癒やしてあげたいと模索するダニエルの元に、同じ少年院にいた男が現れ、事態は思わぬ方向へと転がりだす。

本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)

■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★
嘘をついてでもなりたかっただけに、本物の司祭以上に聞く者の胸を打つ説教で信者の心を動かす。そんな元犯罪者の実話を通して見えてくるカトリック教会への批判。彼が信者たちを前にする上半身裸の告解がやるせない。

■大場正明(映画評論家)
評価:★★★★
主演ビィエレニアの鬼気迫る演技、虚と実や集団と個人に対するコマサ監督の鋭い洞察、主人公が背負う重い過去と村人を襲った悲劇が絡み合う緻密な構成。挑発的な視点で信仰に迫る緊張感に満ちたドラマに引き込まれる。

■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★
憧れの職業になれたときって自分もわからなくなってしまうのか。気持ちが麻痺するのか。いつバレるのかドキドキ。でもみんな信じている。もしかしてこのまま偽りながら最後まで生きられる? ラストシーン怖すぎ!

■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★★
パワフルで大胆な映画。劇伴を殆ど使わずに、前半は建物の外からの光を使って神や外界への関係を表して息苦しくなりそうなところを、幾分変わった撮り方で停滞させない。後半は劇的要素を幾つも入れて魅せきり見事。

(構成/長沢明[+code])

週刊朝日  2021年1月15日号