
「欅坂46」の1期生で、新人女優賞を受賞するなど目覚ましい活躍で注目を集める平手友梨奈さんが、AERAに登場。演じることについて語った。AERA 2021年1月18日号から。
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撮影が終わると、モニターに近づいて自身の姿を真っすぐに見つめた。
1分、2分。いや、もっと。その後ろ姿は、飽くなき探究心を内に抱えた“表現者”に見えた。
アイドルグループ「欅坂46」を経て、昨年「ダンスの理由」でソロとして楽曲をリリースした。今年は俳優として出演した映画「さんかく窓の外側は夜」「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」が相次いで公開される。
演じることの面白さはどんなところにあるのか。そう問いかけ、返ってきた言葉にハッとした。
「ずっと誰かだったり、何かだったりを演じていた感覚があったので、そんなに『演じている』という感覚がないんです」
以前からずっと自身のなかに感じていたことだという。静かに淡々と、だが迷いなくそう語った。
取材では、少し熱っぽく饒舌(じょうぜつ)になるときもあれば、豊かな感性のなかをたゆたいながら言葉を見つけ出そうともがいているように見えるときもあった。演技でとくに苦労した点が思い浮かばないのなら、素直にそう言葉にする。敢えて言葉を作ることはない。
今年、20歳を迎える。世間で言うところの「節目の年」にあたるが、自身は人生を年齢で区切ることはしない。
「こうありたい」と未来を思い描いてみたり、挑戦したいことを改めて考えてみたりすることも、「あまりない」と語った。
取材が終わると、「ありがとうございました」と丁寧にお辞儀をした。
自分は、自分を偽らない。その尊さを教えられた気がした。(ライター・古谷ゆう子)
※AERA 2021年1月18日号

