勝負の3週間と強調しながら何の具体策も示さず、12月11日には分科会の尾身茂会長がGo To トラベルを一時停止せよと訴えたのを無視し、13日の毎日新聞の支持率急落報道に慌てて、翌日一時停止を宣言したものの、その後8人での会食に出席して国民をあきれさせた。まったく真剣味がない首相だ、と。
マスメディアは一斉に、2021年秋の任期までもたないと断定し始めた。そのために、菅首相は姿勢を急変させて、緊急事態宣言を出し、特措法の改正まで行うと表明したわけだ。
昭和初期、国家としての日本のあり方を求めすぎて、軍部が突出して敗れる戦争を起こし、それに懲りて、戦後、特に池田勇人首相以後の歴代首相は、「有事」に決断を先送りするのが無難だと捉えてきた。だから、昨年4月に他国に1カ月近く遅れて緊急事態宣言を出した安倍首相は、罰則規定を設けなかった。
だが、菅首相は先送りを認められない事態となっている。先送りをすれば、支持率は下落するばかりである。だからといって麻生内閣のときとは違って、国民の多くが野党政権には期待していない。
そこで菅首相はどのような決断をすべきなのか。
※週刊朝日 2021年1月22日号
■田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数