昨年からの在宅勤務や巣ごもりで運動量が減り、体重は増加。さらに年末年始で、おなか回りはかなりまずいことに──。今年こそ自分に合った漢方薬を見つけ、ダイエットに役立てたい。「漢方」を特集したAERA 2021年1月18日号から。
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病名から治療法を探る西洋医学とは異なり、体全体を様々な視点から見て不調の原因を追究し、治療法を探るのが東洋医学だ。患者が訴える自覚症状と、治療者側が診る他覚症状を中心に、年齢、性別、体質、既往歴といった個人の情報、さらに季節、生活環境などの要素を加味して、「証(しょう=不調や病気の姿)」を明らかにする。「証」は時間の経過とともに変化するので、その時点の「証」に合った治療を行う。
診断で用いるのは、全身の状態を見る「望診(ぼうしん)」、症状を聞く「問診(もんしん)」、体に触れる「切診(せっしん)」、音声・呼吸音・腹部の異常音を聞いたり、呼気や排泄(はいせつ)物などのにおいを嗅いだりする「聞診(ぶんしん)」。これらを総称し、「四診(ししん)」と呼ぶ。
つまり東洋医学で用いられる漢方薬は、本来オーダーメイド処方なので、「肥満」「ダイエット」といった共通した悩みでも、10人いれば10通りの処方がある。
「漢方薬を飲むなら、医師の四診を受け、自分に合ったものを選んでほしい。一方、ざっくりと自分に合うものを知りたいと言う人もいるでしょう。東洋医学の観点から大まかに、肥満は三つのタイプに分けられます。その人に完全に合った漢方薬とは言えないものの、タイプ別に向いている漢方薬を知ることができます」
吉祥寺東方医院(東京都武蔵野市)院長で、日本東洋医学会専門医の三浦於菟(おと)さんはこう話す。三浦さんによると、三つのタイプとは、「湿痰(しったん)タイプ(痰飲タイプとも呼ぶ)」「お血タイプ」(「お血」の「お」は、やまいだれの中に於で、於の最後の
1画が上にはねている)「脾胃虚弱(ひいきょじゃく)タイプ」だ。