「大丈夫。もう30人近く注射しています。これでコロナも怖くないね」

 医師は記者にこう説明し、診察室へ消えた。

「古くから知る中国人コンサルの頼みで、何人か打ちました。今のところ副反応などの申告はない。コロナに効くか、どうかはわからないね」

 待合室で社長に接種後の感想も聞いてみた。

「普通の予防注射みたいなもんやった。これでコロナにかからんのなら安心や。1か月ほどしてもう一度、注射する必要があるそうだ。自分が大丈夫なら家族も打たせようと思う」

 社長はスーツの内ポケットから財布を取り出すと、「ありがとう」と言って、1万円札3枚を取り出し、中国人コンサルタントに手渡し、帰っていった。

 記者は中国人コンサルタントに「どうやって、中国製のコロナワクチンを入手し、日本に持ってくることができたのか?」「なぜ、日本人に接種させているのか?」など疑問点を尋ねた。

「知り合いの日本人から『中国のコロナワクチンは効き目があるのか。効果があれば、打ちたい』と頼まれたて調べたのがきっかけ。中国の特別なコネで、中国の製薬メーカーからワクチンを入手できるルートを作った。偽物じゃないよ。日本では考えられないかもしれないが、中国は違います。私は日本と中国のおかげで商売をしている。困った時、お互いさま」

 中国人コンサルタントはすでに27人に接種させたという。

「最初に依頼があった日本人は上場企業の幹部。その紹介や、これまで付き合いがあった日本の会社に声をかけてみた。『コロナに感染しないならぜひ打ちたい』という人が何人もいたので、中国から特別な方法で日本に持ち込んだ」

 特別な方法について質問をしたが、答えなかった。だが、同じ中国製ワクチンの接種を開始している国で、副反応を伝えるニュースもある。

 共同通信の2020年12月13日の報道では<南米ペルーの保健当局は11日、中国の製薬大手、中国医薬集団(シノファーム)の新型コロナウイルス感染症ワクチンの被験者に神経性の症状が見られたとして、臨床試験(治験)を中止したと発表した。ペルーで約1万2千人を対象に治験の最終段階を実施していた>

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本当に副作用は大丈夫なのか?