世界中が驚愕した米連邦議会議事堂襲撃事件。前大統領補佐官でトランプ大統領に反旗を翻したジョン・ボルトン氏に、事件の背景について聞いた。AERA 2021年1月25日号の記事を紹介する。
* * *
「アメリカ合衆国にとって悲惨な日だった。そして、その責任は全面的にドナルド・トランプにある」
トランプ政権の前国家安全保障担当補佐官、ジョン・ボルトン氏(72)は1月14日、オンラインでアエラの緊急インタビューに応じて、こう断じた。半世紀以上にわたる根っからの共和党員で、トランプ氏と対立して補佐官を2019年に辞任し、共和党の将来を憂えるボルトン氏。6日に起こったトランプ支持者らによる米連邦議会議事堂襲撃事件は、彼の目にはどう映ったのだろうか。
ひるがえる青い「トランプ2020」の旗。トランプ大統領のトレードマークである赤い「メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン(MAGA)」キャップをかぶる人の山。マスクを着けず、鉄製バリケードを梯子(はしご)のように塀に立てかけ、続々と連邦議会議事堂の敷地に侵入するトランプ支持者たち。1月20日に開かれる、バイデン次期大統領の就任宣誓式のために組み立てられた式場を、数千人の“MAGAピープル”が埋め尽くした。
■承認プロセス遅らせる
6日午後(米東部時間)、バイデン氏が大統領選挙で獲得した選挙人の数を承認し、彼の勝利を確認する上下両院合同会議が開かれていた議事堂内に、銃器を掲げたトランプ支持者らが窓を割って侵入した。その日の昼過ぎ、トランプ氏が支持者らを前に、ホワイトハウス付近で開かれた集会でこう言った直後のことだった。
「大統領選挙は、(民主党に)盗まれた。(合同会議が開かれている)議事堂に向かって行進しよう。そこで会おう」
ボルトン氏はその日、自宅でニュースを見ていて事態を知ったという。そしてこう指摘する。